2009年5月2日土曜日

【本】身体革命

<根来秀行・角川SSC>
サブタイトルが「世界最先端のアンチエイジングの法則」
ハーバード大学医学部客員准教授の著者が、エビデンスを
紹介しながら、食や運動、健康習慣について述べています。

●若さを保つ5つの法則
1.細胞を大切にすること
2.体本来の能力を十分引き出すこと
3.良いものを体内に取り入れ、悪いものは体内に入れないこと
4.体内の悪いものを消し去る、あるいは、体外に追い出すこと
5.明るく楽観的に生きること

●若さと美しさを保つ食習慣の5つの法則
1.カロリーリストリクションを実践する
2.インスリンを低く保ち、炭水化物は低GIと後回し摂取を
  (具体的には、まず野菜や海草類を食べ、次に肉や魚などの蛋白質を摂り、
  最後にご飯、パン、麺類などの炭水化物を摂る)
3.若さを保つ抗酸化食材を摂る。目印はカラフルな色
4.免疫力アップの食材を摂る。
5.十分なビタミン・ミネラルで美肌に

●噛むことの効用
噛むという行為によって唾液の分泌が盛んになり、より細かく噛み砕かれたものが唾液と混ざりあうことによって、食べた物の消化が数段良くなります。そして、よく噛む方は食べるのに時間を要するため、その間に血糖値が上昇し、早く満腹中枢が満たされることになります。さらに食べ始めて20〜30分後から、レプチンというホルモンが全身の脂肪細胞から分泌されます。レプチンはお腹がいっぱいになったことを脳に伝える大切なホルモンですが、これが脳に伝わると脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食べるのを止めてエネルギー消費のプロセスに写移るように指令を出すのです。ゆくり噛んで食べることで、このレプチンの分泌が促され、全身の基礎代謝も上昇します。

また、よく噛むことによって脳下垂体から食欲を抑制するヒスタミンの分泌が増加し、結果的に総カロリー摂取量も抑さえられます。唾液中にあるペルオキシターゼという酵素が、食べ物中に含まれる発がん物質の毒性を低下させるという報告もあります。さらによく噛むことにより、食後2時間後に十二指腸からコレシストキニンという物質が分泌されます。このコレシストキンンにはいろいろな作用があり、たとえば、記憶や学習にかかわる海馬に働きかけるため、脳の活性化に役立つことになります。さらに、コレシストキニンは脳内においてドーパミン作用を抑さえる働きがあり、ふたんを減少させ、精神を安定させる作用もあるのです。そして、噛むという運動自体が脳に刺激を与え、セロトニンという神経伝達物資の分泌が増加します。セロトニンには気持ちをリラックスさせることによって、ストレスを解消する働きがあります。よく噛んで、ゆったりと食事をすることには精神面でもとても良い傾向をもたらします。


<沖縄の平均寿命>
沖縄の男女は平均寿命が日本一をキープしていたのですが、1995年に沖縄男性の平均寿命は低下傾向を示し、2000年には何と全国26位にまで転落してしまいました。早速、沖縄県では原因究明のための調査研究が行われてました。この研究調査は2003年から04年にかけて行われ、30歳から79歳までの男女7000人についての統計がとりまとめられ分析されました。その結果、男性の約70%、女性の約50%に高血糖が認められたのです。急速に欧米化してしまった食生活と欧米的に車社会になってしまい、歩くことが少なくなってしまったことが原因と結論づけられました。実際、沖縄県の人口当たりのファーストフード店数は日本一と言われています。つまり、沖縄県民を取り囲む食習慣と運動環境の悪化が、沖縄県民の平均寿命を下げてしまったということになります。そもそも、元来の沖縄の食生活は長寿に理想的と考えらるものでした。その沖縄の中でも、特に長寿の村と考えられている大宜味村では秋田農村に比べ

(1)約3倍の肉類を摂取 
(2)緑黄色野菜摂取量が3倍多い
(3)豆腐など豆類の摂取が1.5倍多い 
(4)果実類摂取が多い 
(5)食塩の摂取量が低い 
(6)米が主食 
(7)魚タンパク摂取が多い、魚油摂取が多い 
(8)海草摂取が多い 
(9)大豆摂取が多い、
などといった食生活の特徴がありました。これらは健康長寿食のお手本の一つといえます。ところが、このような沖縄の伝統的な食生活が食の欧米化に伴って崩されつつあるというわけです。


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